
現金過不足についてを学んでいこう
現金過不足とは
帳簿上の現金合計(帳簿有高)と手持ちの現金合計(実際有高)一致せず,原因が分からない場合,
いったん合計を揃えるために使う勘定科目のこと

会計の締め切りまで,仮に補充しておくものということね
現金過不足の勘定科目は
現金過不足は,五大要素のどれにも属さないことが特徴です。これを仮勘定と言います。

五大要素に属さず,会計期日まで,仮においておくものだからです。

ということは,会計期日が来たら,最終的には何かの勘定で処理をして消えるのが特徴ね
現金過不足の使い方
現金過不足の使い方には2種類あります。
①:帳簿有高の方が,実際有高よりも多い場合
②:帳簿有高の方が,実際有高よりも少ない場合

それぞれ説明していきましょう
①:帳簿有高の方が,実際有高よりも多い場合


考えることは,2点です。
条件1は,帳簿有高と実際有高を同じにしてやること
条件2は,実際有高を軸に帳簿有高を調整すること

まず考えるのは,条件1です。
帳簿有高と実際有高を同じにするには,どちらかを増やすか,どちらかを減らすかですよね
ここで条件2の ”実際有高を軸に帳簿有高を調整する” がポイントです。

帳簿有高を調整して,実際有高に合わせるので,帳簿有高から多い分を引いてあげればいいのです。当たり前ですが,実際手元にあるお金は減らせませんが,帳簿上,つまり机上のお金は減らせますもんね


つまり,仕訳では,現金(資産)を帳簿有高と実際有高の差分だけマイナスしたいので,貸方に現金をもってきます。
そして,相方の勘定に現金過不足をもってきます。

②:帳簿有高の方が実際有高よりも少ない場合


考え方は①の場合と同じです。
まず,帳簿有高と実際有高を同じにしたい
帳簿有高を調整するので….

今回は,帳簿有高を増やして実際有高と同じにするのね!


つまり,仕訳では,現金(資産)を帳簿有高と実際有高の差分だけプラスしたいので,借方に現金をもってきます。
そして,相方の勘定に現金過不足をもってきます。


この2パターンの現金過不足の仕訳方法をしっかり覚えておこう!!
現金過不足の処理方法

仮勘定である現金過不足は,会計処理時期が来たら消さなくてはいけないのが特徴と言いました
ではどのように消すのでしょうか?
原因が明らかになった場合

会計処理の時期までに現金過不足の原因が明らかになった場合は,
明らかになった内容と現金過不足を置き換える作業を行います。
例えば,次のような例題があったとします。
例題:帳簿有高の方が,実際有高よりも5,000円多かった。原因は,消耗品費5,000円の記入漏れであることが分かった。


まずは,先ほどのように,帳簿有高と実際有高を合わせる処理をします。


今回,消耗品費(費用)の記入漏れがあったので,借方に消耗品費5,000円を記入
そして,借方にある現金過不足を消すために,貸方へ現金過不足5,000円を記入します。


結果的に,上の2つの仕訳を合わせると,借方,貸方両方にある現金過不足が消え
次のような仕訳が会計時に処理されることになります。


帳簿有高が実際有高よりも少なかった場合は,これと逆のことをやればいいのね!
原因が明らかにならなかった場合

原因が明らかになればいいのですが,中には会計処理時まで明らかにならないことがあります。
そんな時は,次の2つを使って処理します。
雑損
帳簿有高が実際有高よりも多くなったが,原因が明らかにならなかった場合に使用します。
会計の五大要素は「費用」に分類されます。

例えば,先ほどの例題のような現金過不足が発生したとしましょう。


原因が分からないまま,会計処理の時期が来てしまったので,現金過不足を雑損を使って消します。


つまり最終的には次のような結果になります。

雑益
帳簿有高が実際有高よりも少なくなったが,原因が明らかにならなかった場合に使用します。
会計の五大要素は「費用」に分類されます。

例えば,次のような現金過不足が発生したとしましょう。


原因が分からないまま,会計処理の時期が来てしまったので,現金過不足を雑益を使って消します。


つまり最終的には次のような結果になります。


このように最終的に現金過不足を消す作業を行います。

原因が明らかになった ⇒ 原因で消す
原因が明らかにならなかった ⇒ 雑損・雑益で消す

問題には,一部だけ明らかになったが,残りは明らかにならなかったというパターンもあります。そんな時は,上の2つのパターンの合わせ技で処理します。
練習問題
【問題1】実際有高を調べたところ,帳簿有高よりも5,000円多いことが分かった。仕訳をしなさい。

問題1解答


今回は,帳簿有高の方が,実際有高よりも少ないパターンです。
なので,帳簿有高を増やして,実際有高と同じにする作業をします。

帳簿有高を増やす場合は,借方に現金でしたね!
そして相方の貸方が現金過不足でした!
【問題2】現金を調査したところ,帳簿有高よりも1,500円少ないことが分かった。原因は未処理の「通信費」であることが分かった。仕訳をしなさい。

問題2解答


問題1よりもちょっと複雑です。3Stepで考えましょう。
まず,Step1で,現金と現金過不足の仕訳をします。

今回は,帳簿有高の方が多いパターンね
だから,貸方に現金を持ってきて減らす作業をするの

次に,Step2で,明らかになった内容で現金過不足を削除する
今回,通信費(費用)が明らかになったので、借方に通信費。
そして,Step1の現金過不足を消すように貸方に持ってきます。

最後,Step3で現金過不足を削除するようにStep1,2の仕訳を組み合わせたら完成ね!
慣れたらStep1,2をスキップして,いきなりStep3の仕訳が出来るようになりましょう
【問題3】現金を調べたところ,実際有高よりも帳簿有高の方が2,000円多いことが分かった。その後,「通信費」500円が未記入であることが分かったが,残りは明らかにならず,決算を迎えた。残りの分を正しく処理し,仕訳をしなさい。

問題3解答


今回は帳簿有高の方が多いので,Step1で帳簿有高を減らします。
次に,明らかになった内容を仕訳して,現金過不足を消す作業をします。

今回は全て明らかにはならなかったので,残りの現金過不足は雑損 or 雑益で消します
今回は,借方に何か入れるので,雑損になります。

最後にStep1,2,3を組み合わせて完成になります!
【問題4】現金を調べたところ,帳簿有高よりも2,500円多かった。原因は明らかにならず決算を迎えた。正しく処理し,仕訳をしなさい。

問題4解答


今回は帳簿有高の方が少ないので,Step1で帳簿有高を増やします。
内容が明らかにならなかったので,Step2で雑損 or 雑益で処理します。

今回は貸方に何かを入れなくてはならないので,雑益を入れます。

最後にStep1,2を組み合わせて完成です。
おわり

これで現金過不足については完璧だ!




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