簿記で出てくる「借方」「貸方」とは何か?それぞれ何を意味するのかを解説します。
また,「借方」「貸方」どちらに該当するか混乱しないための覚え方についても解説します。
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「借方」「貸方」とは?
簡単に言えば,” 増 ” と ” 減 ” です。
例として「現金」で説明しましょう。
「現金1万円を受け取った」 ☞ お金の増加なので「借方」
「現金1万円を支払った」 ☞ お金の減少なので「貸方」
項目の増減を「借方」「貸方」のグループに分けて最終的な損益を算出します。
どっちが「借方」「貸方」?
「借方」「貸方」は書かれる順番,配置が決まっています。
「仕訳」のある例を見てみましょう。
↓こんな感じです
借方 | 貸方 |
商品 250,000 | 現金 250,000 |
表のように,左側が「借方」,右側が「貸方」というのが決まっています。
覚え方は,次のようです。
借方:「かりかた」の ”り” は左に向いているので 左側
貸方:「かしかた」の ”し” は右に向いているので 右側

「借方」「貸方」考え方の注意点
「借方」「貸方」は,増減を表していると表現しましたが,注意点があります。
注意)こう考えをまとめている人は注意です。

なるほど…増える系が「借方」で,減る系が「貸方」か~
「借方」「貸方」は単にプラス,マイナスを意味している訳ではありませんので注意です。 「借方」に減少の内容を入れることもあります。
なので解釈としては,”増減を表す言葉。ただし,どちらにもなり得るもの”と覚えておきましょう。
どういうこと?詳しく!!と思った方は,この先で説明します!
「借方」「貸方」の増減はどうやって決まる?
先ほど,”増減を表す言葉で,どちらにもなり得るもの”と覚えると伝えましたが, 「借方」「貸方」は単にプラス,マイナスという意味ではありません。
なぜかというと,” それぞれの項目には「借方」「貸方」の正規ポジションが存在する”からです。
どういうことか説明していきます。
例えば,「現金」の正規ポジションは,「借方」です。
正規ポジションでは,増加(お金が増える)を意味します。
逆に非正規ポジションは「貸方」です。
非正規ポジションでは,減少(お金が減る)を意味します。

※正規ポジション,非正規ポジションは簿記の言葉ではなく,説明のための単語です。
別の例で言うと「借金」の正規ポジションは,「貸方」です。
正規ポジションでは,増加(借金が増える)を意味します。
非正規ポジションは「貸方」です。
非正規ポジションでは,減少(借金が減る)を意味します。

「現金」と「借金」では「借方」「貸方」の増える,減るの関係が逆になっていることが分かりますね
このように項目によって正規ポジションが異なるので,単なるプラス,マイナスと覚えるのは危険
「借方」「貸方」に記入する判断方法は?
前文で書いた通り,各項目にはポジションがあります。
つまり,ポジションを覚えてしまえば,問題ありません。
ポジションを覚えるべき項目は計6つです。
「貸借対照表」で3つ,「損益計算表」で3つです。
まずは,「貸借対照表」に登場する項目について説明します。
「貸借対照表」は,「資産」「負債」「資本」の3項目で構成されています。 下図が正規ポジションです。正規ポジションに置くと増加を表します。

次は,「損益計算表」に登場する項目について説明します。
「損益計算表」は,「費用」「収益」「利益」の3項目で構成されています。 下図が正規ポジションです。正規ポジションに置くと増加を表します。

この6項目の正規ポジションを覚えておけば,仕訳の際に,「借方」「貸方」のどちらへ記入すべきなのかを判断することが出来ます。
考え方を具体的に説明します。
例えば,こんな問題があったとします。
Q.「銀行から100,000円を借りて,普通預金とした。」この取引について仕訳をしなさい。

「銀行から100,000円借りた」
☞ 借入金の科目は「負債」で,今回の取引で「負債」が増えたから…

「負債」が増える。つまり,「負債」の正規ポジションに置けばいいから…

「負債」の正規ポジションは,「貸方」だから,貸方側に書けばいいんだ!
「普通預金とした」
☞ 普通預金の科目は「資産」で.今回の取引で「資産」が増えたから,
「資産」の正規ポジションは「借方」だから,借方側に書けばいいんだ!
科目の覚え方
前文で,「借入金」の科目は「負債」だから…と言いましたが,

「負債」のポジションがわかっていても,「借入金」が6つのどのの科目に属するかわからないと仕訳ができなくない?どうやって科目の判断をするの?
こう思ったかもしれません。結論は,” 暗記 “です。
ですが,簿記の学習で出てくる単語は大体科目の予想ができるものが多く感じます。
簡単な例でいうと,「通信費」。
これは ”電話代やはがき代のこと”なのですが,
”電話やはがきを使うための 費用 ”なので科目は「費用」と想像しやすいと思います。
少し難しい例でいうと,「売掛金」。
これは ”商品を売ったが,まだお金をもらっていない場合のこと” です。
つまり,”あとからお金(資産)が入ってくる”という意味なので科目は「資産」と想像出来ます。
このように,単語そのものが何を表しているのかを理解することで,ある程度科目は想像出来ます。
学習する時に単語がどういう意味を指すのかを意識しておきましょう。
まとめ
- 「借方」「貸方」は,増減を表しており,「借方」は左側に,「貸方」は右側に位置する
- 科目ごとに正規ポジションが存在し,科目ごとで「借方」「貸方」の増減位置は変わる
- 科目ごとの正規ポジションを覚え,問題を解く際は,その項目の科目が何かを判断し,増えるのか減るのかで「正規ポジション」に書くか,「非正規ポジション」に書くのかを判断する
- 科目の覚え方は,単語だけでなく,単語の意味も理解することで,科目を連想できるようにする
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